植物からは温室効果ガスであるメタンが大量に放出されている – 温室効果に関して –

 
 日経サイエンス(参考文献[1])を読んでいたら、なにやらタイムリー*1
記事を見つけた。ちょうどいい機会なので、自身の知見を深めるために
も、記事を書こうかと思う。自分の専門外の話なので、間違っているとこ
ろもあるかもしれない。そのときは、指摘して貰えるとありがたいです。
 
 
 F.ケプラー(Frank Keppler; マックス・プランク化学研究所), T.レック
マン(Thomas Roeckmann; ユトレヒト大学)によれば、生きている植物
からは、大量のメタンを産生しているらしいということだ。いままでは、
嫌気性細菌、あるいは森林火災などによってしか産生しないと思われ
ていなかったのだが、実に身近なものであり、大量に存在する植物
からも産生されるってのは、大きな発見だろう。
 メタンは非常に温室効果の高い温室効果ガスであり、1kg当たりの
メタンは、1kg当たりのCO2の実に23倍もの温室効果を持つ。これは、
地球温暖化を考える上で、メタンが非常に重要なファクターであると
考えられるだろう。植物から放出されるメタンは、年間6000万~2億
4000万トンにも達する。これは、地球全体の年間放出量の10~40%
に相当する。これは果たして何を意味するのか。CO2放出量の削減
を目指すうえで、植林事業がいま最も活発化しているが、それは果
たして効果的なのか、むしろ逆効果なのではないか。そのような疑
問が生じる。しかし、彼らによると、大気中へのメタン放出量が増える
と言う比較的小さなマイナスの効果をはるかに上回るメリットが、植
林による温暖化ガス削減の効果としてあるとのことだ。
 そもそも、温暖化というのはどのようにして起こるのだろうか。高校
のときに、あるいは先生に"CO2よりメタンのほうが温室効果は高い
のだから、メタンを削減すべきだ"と言われた人もいるのではないだ
ろうか。この考え方は、果たして正しいのか否か。それは、温室効果
の原理を考えれば、自ずと分かってくる。
 
 地球の温度は、太陽からの入射エネルギーと輻射エネルギーの収
支によって決まる。仮に、輻射エネルギーを吸収する存在(温室効果)
が無かったならば、ステファン・ボルツマンの法則から地球の温度は
-18℃と求まる。(参考文献[2]) しかし、温室効果により、地球の平均
温度は、約15℃となる。プランクの熱輻射公式から、あらゆる物体は
その温度に応じて光り(輻射)と平衡状態を実現するということがいえ
る。これは、周囲が放射を完全に通さない、一定の温度の壁で囲まれ
た空洞を考え、空洞中の輻射とその壁を構成する原子との間でエネル
ギーのやり取りの平衡状態が実現されることを示し、壁と平衡関係に
ある空洞内の輻射は、空洞の壁の性質に無関係な波長と絶対温度の
関数で表せることを示す。(参考文献[3]) これはつまり、ある物体に対
して特定の波長(共鳴振動数)を照射したとき、その物体においてエネ
ルギーが発生することを意味する。これが、"温室効果"である。
 そして、輻射光線の波長は、ウィーンの変位則より求めることがで
きる。その式が、λm・T=2900(λ: 最強波長, T: 放射温度)であり、
これを用いると、輻射波長は10-12μmとなる。そして、この波長域を
もっとも吸収する(厳密には、この周波数で最も共鳴振動を起こし、
エネルギーを発生する)のがCO2である。このことは、参考文献[2]
にある、"太陽スペクトルと大気の吸収"という図に詳しい。
 メタン(CH4)は、CO2に比べてその組成が複雑であるので、共鳴
振動を起こしたときによりエネルギーが発生すると考えられる。そ
のために、CO2よりも温室効果が高いのだろう。しかし、重要なの
は、特定の波長に対して共鳴振動を起こしてエネルギーを発生す
るということであり、今の地表温度から算出される地球放射の波長
は、CO2の共鳴振動数帯であり、温室効果を考えるうえでの最も重
要なファクターは、やはりCO2ということである。したがって、メタンの
温室効果はCO2より高いという考えは、語弊があるのではないかと
思う。あくまで、共鳴振動数が重要なのだから。
 
 余談ではあるが、メタン、CO2濃度のグラフ、そして気温のグラフ
には、それぞれCO2濃度と地球の気温を反映したメタン濃度の不
思議な相関関係が見てとることができる。*2(参考文献[4]の図を参
照)これは、熱帯林においてそのメタンの発生量が多いことからも、
CO2の増加に伴う気温の上昇により植物が大量に増えて、それに
伴ってメタンの放出量が増加したのではないかとも考えられる。(参考[1])
 
 

参考文献

[1] 植物から出る温暖化ガス メタン  日経サイエンス2007年05月号
[2] 第二部-3- 大気と海の科学-第2章 大気と太陽エネルギー
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/taikitotaiyoenergy.htm
[3] 温室効果と地球温暖化
http://www.fnorio.com/0040Greenhouse_effect1/Greenhouse_effect1.htm
[4] 温室効果・ウィーンの変位則
http://homepage1.nifty.com/kow1/jugyo/3-11.html
[5] IGBP Science4
 
 
 

備考:

*1
 自分にとってタイムリーってことね。友人と、温暖化について話をして
いた……というよりは、友人から温暖化についての話を振られた、と
言ったほうが正しいか。。
*2 
 図がないので補足説明をすると、大気中におけるメタン, CO2の濃度と
気温のグラフを見ると、メタン, CO2の増減に面白いほどに相関が見られ
るということ。そして、その増減に合わせて気温も変動している。
 
 

履歴

2007/04/29 07:00
一部、加筆したり、誤字を修正したり。
2007/04/28 16:21
記事投稿。
 
 
清書版:
 
温室効果とはどのようなメカニズムによって起こるのか (粉末@それは風のように[論考])
 
 
 
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