色彩心理学-色がヒトのこころに与える影響

 
08/02/22 追記:
 
下記内容を加筆・修正して以下に転載。
 
 
というわけで、上記Webページをご利用くださいな。
 
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 色彩心理学に関する書籍を読了。色というのは、人に対していろいろな影響を
及ぼす。重く感じる色、軽く感じる色、時間の流れを早く感じる、遅く感じる、進出
色、後退色、食欲色、逆に食欲が減退する色などなど、実に様々な影響を及ぼ
す。もともと、僕は色彩心理にはあまり関心がなかったのだけど、この本を読んで
いろいろと関心が湧いてきた。それと同時に、今までの諸事に対して、違った視点
から考えるようになった。違った視点から、つまりは、色の心理的効果という側面
から、今までの諸事に対しての想見を得るようになった。これは、結構意義深い。
それで、この本を読んで、1つだけ疑問点がある。それに関して、少し考察したい。
まあ、考察っていうほど大層なものではなく、自身の疑念を解消しようってだけだが。
 この本を読んでいて、1つだけ引っかかることがあった。それは、"赤は副交感神経
を刺激する色。胃腸の働きを活発にしてくれ、自然と食欲が湧いてくる。 (マンガで
わかる色のおもしろ心理学p.48より引用)"というもの。……赤が刺激する自律神経
系は、副交感神経じゃなくて交感神経だろ??
 心筋や内臓の平滑筋などに分布し、無意識のうちにこれらの臓器の働きを制御する
神経を自律神経系(autonomic nervous system)という。自律神経系は、循環器系,
呼吸器系, 消化器系, 代謝, 分泌, 排泄などのホメオスタシスに関する機能を制御する
神経系であり、自律神経系は大きく交感神経(sympathetic nerve)と副交感神経(para-
sympathetic nerve)とに分けられる。両神経系ともに中枢神経系にある節前ニューロン
の軸索である節前線維が神経節にいたり、節後ニューロンにシナプス結合する。節後
ニューロンの軸索である節後線維は、興奮によって伝達物質を効果器に対して放出する。
交感神経末端からはノルアドレナリンが放出され、アドレナリン作動性神経の活動により
作用し、副交感神経末端においては、アセチルコリンが放出され、コリン作動性神経の
活動により作用し、これらの神経系は互いに相反的作用を及ぼし、大部分の臓器は
これらの神経系が分布し、それぞれ調節される。
 一般に、交感神経系と副交感神経系の関係は、起きているとき・活動的であるときに
交感神経系が優勢となり、寝ているとき・リラックスしているときに副交感神経系が優勢
となる。各神経系の各器官に対する作用としては、交換神経系においては、心拍数増加,
心筋の収縮力増加, 血管の拡張, 気管支筋弛緩, 胃腸管の平滑筋弛緩などがあり、
副交感神経系においては、心拍数減少, 収縮力減少, 気管支筋収縮, 胃腸管の平滑筋
収縮, 括約筋弛緩, 勃起などがある。
 したがって、もし副交感神経系が刺激されるのであれば、確かに胃腸管における活動は
活発化するため、食欲増進効果はあり得るかもしれない。しかし、赤色の心理的影響を
考えたとき、それは交感神経系を刺激するものであり、副交感神経系を刺激するものでは
ないのではなかろうか。一般に、暖色系である赤の心理的影響としては、心拍数や呼吸数
の増加が上げられる。すなわち、赤は心理的に興奮性があると言え、それは交感神経系
の刺激を示している。よって、本書にある赤が副交感神経系を刺激するというのはおかしい
んじゃないか。そもそも、副交感神経系を刺激するのは、寒色系である青や紫のはず。
更にいえば、これら一般に寒色系である青色や紫色は食欲減退色であり、まったく反対の
効果を示す。
 
 さて、ここまで書いたら疑問が湧いてきませんか??そう。自立神経系において
は、赤は交感神経を刺激する色であり、神経科学的観点から言えば、交感神経が
刺激されるのだから、食欲は減退するはず。しかし、食欲色として赤は食欲増進の
効果がある。逆に、青色や紫色などの寒色系は副交感神経を刺激する色であり、
本来ならば胃腸の活動が活発化されるために、食欲が増進されるはずなのだが、
実際は食欲減退色である。はっきり言って、意味が分からない。なぜだろう……。
ネット上の文献をいろいろ調べても、いまいち不明瞭であったり、誤っていると思わ
れる情報しかない……。特にひどいのは、"胃腸の働きが交感神経系によって活発
化される"って書いてあること。それは違うだろ……orz しかも、どう考えても大手のはず
なのに( ´゚д゚`) 例えばね、
赤は、交感神経を刺激し、アドレナリンの分泌を促すことによって、
胃腸の働きを活発にしたり、気分を昂揚させたりすると言わています。
とあるんだけど、アドレナリンは、胃腸管において膜電位を過分極させ、結果
活動電位を抑制して筋を弛緩させるんだよ。胃腸管の筋を活発化させるのは、
アセチルコリンであり、アセチルコリンによって膜電位を脱分極し、活動電位の
頻度を増加させて筋を収縮させる。つまりは、胃腸の働きを活発にするのは、
アセチルコリンであり、アセチルコリンを神経伝達物質として活性化するのは
副交感神経系。アドレナリンは交感神経系であり、これにおいては胃腸の活動
は抑制的となる。だから、書いてあることはおかしいと思う。実際、これだけじゃ
なくて、他にも間違っていると思われる点が複数箇所あった。・・・まあ、小心者
だから言っておくと、生理学のテキスト漁って言ってるので、僕の言っていること
は多分合っているはずなんだけど、間違っていたら……キリン・ヤクルトさん
ごめんなさい。。
 
 さてさて、少し話が脱線したが、けっきょくのところ、"なぜ赤は食欲色なのか"って
話になる。で、僕の知見で出せるもっともらしい解答はと言えば、赤は刺激色であり、
それの影響の対象として、自律神経系を考えるのではなく、脳の働きを考えればいい
のではないか。つまりは、赤色が脳は視床下部の外側核(外側視床下部)における
摂食中枢を刺激する結果なのではないだろうか。あくまで僕の推測に過ぎないんだ
けど、これなら個人的にはすごく納得できる。
 まあ、なんにせよ、色というのは興味深いものだと思った。あ、あと、もう一つあった。
ここまでで、こんなに長くなるとは思わなかったのであれだが・・手短に話すと、
スタートレックの手術風景に関して。術者が赤色の服を着るというのは、どう考えても
理解できない。赤色の服を着ることにどういうメリットがあるのか。まったく分からない。
第一に、赤色は刺激色であり、過度の赤は攻撃的であり、また精神的に不安にするし、
患者、術者ともに少しでもリラックスする必要がある場合において、刺激色を用いる
メリットがない。無意味に興奮させてどうする。。第二に、血が目立たなくなるんじゃない
か。出血量の把握が困難になるのではないか。まあ、彼の時代においては、出血は
ほとんどないから良いのかもしれないけど、それにしたって、デメリットにはなり得なく
てもメリットになることはなにもないじゃないか。。まったくもって、あれは理解できない。
なんで、あんな赤なんていう"不自然な色"にしたんだ……。
 
 
 
参考文献
[1] マンガでわかる色のおもしろ心理学-青い車は事故が多い?子供に見せるとよい色とは? ポーポー・ポロダクション  SoftBank Creative
[2] 脳とニューロンの科学  新井 康允 著  裳華房
[3] 生理学テキスト第5版  大地 陸男 著  文光堂
 
 
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