AT(無酸素性作業閾値)とVO2max(最大酸素摂取量)の簡易的な求め方

AT(Ananerobic Threshold,無酸素性作業閾値)とは,有酸素運動と無酸素運動の境界付近,
ある一定以上の運動強度を与えると,有酸素運動から無酸素運動に切り替わるけど,
その有酸素から無酸素に切り替わる変換点をATと言う.

無酸素運動では乳酸が生成され,筋疲労を起こすため,
できる限り乳酸を生産せず,持久的な運動を行うためには,
あるいは,そのパフォーマンスをさらに上げるためには,
自分のATを把握するということは非常に重要である.

ATの測定法としては,以下の4つがある.

・LT(Lactate Threshold,乳酸性作業閾値)
・VT(Ventilation Threshold,換気性作業閾値)
・HRT(Harteate Threshold,心拍性作業閾値)
・OBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation,血中乳酸蓄積開始点)

LTやOBLAは血中の乳酸濃度を測るため,あまり一般的には計測できない.
血を採る必要があるからね..医者か医者の監督の下,看護師資格を有するの者か..

VTは呼気ガスを採取することで計測する.酸素摂取量(VO2)に対して,
二酸化炭素排出量(VCO2)が増大するポイントをVTとする.
これも,呼気ガスを計測するための装置は高価であるため(安価なものでも数百万する),
あまり,一般的に計測することは困難である.
最も,呼気ガスさえ計測できるなら,最も楽でありかつ確実な方法だけど.(参考[3], [5])

最も簡便かつ安易な方法がHRTになる.
トレッドミルで徐々にスピードを上げていき,
それぞれのスピードでの心拍数を測定していったとき,
あるスピードの時点で心拍数の変化が大きく変化する.
その心拍数の変曲点をHRTとして定義する.
心拍を測れば良いので,非常に簡単で安価に行うことができる.
ただし,HRTはLTやVTと一致せずそれらよりも高値となったり,
人によっては心拍の変曲点が現れにくく,計測が困難であることが挙げられる.(参考[3])

さて,ここまでは一般的なATの概念について,
またAT指標となる4つのパラメータについて説明した.

けっきょくのところ,上記パラメータは研究室で測るような代物で,
とてもじゃないけれど,個人で測るのはちょっと難しい.
(HRTはその気になれば個人でも測れるが)

そんなわけで,ATを知るための簡易的な計測法を調べてみた.
下記に関しては,参考文献[1], [4]を大いに参考にしている.

AT(簡易計算法):

 AT = {最大心拍数(220-年齢) - 安静時心拍数} × 0.75 + (安静時心拍数)

(75 %はどちらかと言えばスポーツマン?)

ATトレーニング(簡易測定法):
5000mの平均走速度を100%とした時、ほぼ92.5%の速度

最大酸素摂取量(VO2)の簡易計算法:

 VO2max(ml/kg/min)=[12分間の走行距離(m)]×0.021-7.233

最大酸素摂取量(VO2)相当の走行速度:

[12分間の走行距離(m)]÷ 12(分) ÷ 0.9

最大酸素摂取量(VO2max)を上げるトレーニング:

 運動強度(%VO2max)=(運動時心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)×100

ただし,短期間に全身持久力を向上させることを目的とするのであれば,
VO2max向上トレーニングよりも,ATトレーニングを行ったほうが良い.(参考[1])

また,トレーニングの際には,Borg Scale(RPE;Rate of Perceived Exertion)が有効である.
一般に,AT負荷相当のトレーニングは,Borg Scaleにおいて11~13相当の体感運動強度となる.(参考[5])

Borg Scale, 対AT%, 運動の目的・効果のそれぞれの関係性については,
参考文献[4]の運動強度指標対照表が非常に詳しい.
また,この表を見れば分かるように,AT時の心拍というのは,
おおよそとして,最大心拍数(220-年齢)(最大心拍数-年齢) x 0.80となる.

そのため,ATトレーニングを行う際には,
目標心拍数 = 最大心拍数(220-年齢)(最大心拍数-年齢) x 0.80になるような運動を心掛ければ良い.

ちなみに,自分の場合は,

AT = 165.25
最大酸素摂取量(VO2max) = 43.17

だった.

参考文献:
[1] 運動強度設定の目安(2) AT(無酸素性作業閾値 Anaerobic Threshold) – 体力トレーニング / 持久力編 2
[2] 最大酸素摂取量(VO2max), 酸素摂取水準(%VO2max), 換気性作業閾値(VT: Ventilatory Threshold) – 呼気ガス指標
[3] ATを知る – @runner
[4] 運動強度指標対照表 – Training Zone and Heart Rate
[5] 運動強度の決定法 – 運動療法とは

 

追記(2017/06/18):

ご指摘頂いた誤記について,取り消し線の上訂正.

広告
カテゴリー: 日記 パーマリンク

AT(無酸素性作業閾値)とVO2max(最大酸素摂取量)の簡易的な求め方 への11件のフィードバック

  1. kuroda より:

    非常に参考になりました、ありがとうございます。乳酸閾値を計測したいが言われるように、なかなか手が出せないので、非常に助かります。

    • Funmatu より:

      初めまして~.コメントありがとうございます.
      少しでも,お役に立てましたら幸いです.

  2. k より:

    計算式あたってる?係数適当?
    こういう人がいるから

    • Funmatu より:

      初めまして.コメント有難うございます.

      本記事で簡易計算法としてご紹介させて頂いた計算式は,全て推定式として一般に用いられているものになります.何分,3年前の記事なので,参考にした書籍名をご提示できなくて申し訳ないですが(一応書籍でも確認はしております),もし式の妥当性に疑問をお持ちでしたら,スポーツトレーニング系の書籍をお調べになってみて下さい.

  3. ピンバック: サブスリーへの近道はLTペース走?それぞれの練習タイプから考える | Runjoy magazine

  4. NanakusaTaro より:

    運動強度対照表を見ると
    AT=最大心拍数×0.8
    ですね。
    年齢を引くと低くなりすぎてしまいます。

    • Funmatu より:

      初めまして.コメントありがとうございます.

      ご指摘,ありがとうございました.記事中の誤記について,気付いた箇所,取り消し線の上,訂正致しました.

  5. gkrsnama より:

    計算していただく必要はありませんが、以下のようなデータで使えるのですか?

    エアロバイクでの測定で、2分毎に35w負荷が増す式です。体重85kg年齢60男性で、350W心拍179、スタートから22分でギブアップしました。機械は46.8と出しているのですが。また標準体重63kgに落とせば、62くらいになるはず。また55kgに落とせば70近くになるはずという考えは正しいでしょうか。(これが本当ならやせたらマラソン完走できる!)

    • Funmatu より:

      はじめまして.コメントありがとうございます.

      もう,長くこの手の分野からは遠ざかっているものですから,以下は個人的な意見(むしろ意見というよりも感想程度)としてお聞き願えれば幸いです.

      酸素摂取量~消費カロリー~運動負荷(~:相関性;シンプルなモデルでは「酸素摂取量∝消費カロリー」)ですので,非常にシンプルに考えた時,線形モデルを当て嵌めてもそれなりに尤もらしいと考えられます.ですので,「46.8 * 85.0/63.0 = 63.1」や「46.8 * 85.0/55.0 = 72.3」と考えるのは「目安」としてある程度は尤もらしいと思います(実際,70以上あればプロ級!?).ただ350W心拍179で途中でギブアップする程の高負荷だったという事は,運動中ATを超えていた可能性がありますので,46.8を基準にするのが妥当かどうかは分かりません.できれば,30分から1時間程度は継続できる程度の運動を基準にした方がより尤もらしいのでは無いかと思います.簡易的な計測の上では,簡易的に自分のATを求めてみるか,或いは140-160程度の心拍で30-60分程度継続して運動をしてみて機械で計測された値を基準にしてみると良いのではないでしょうか.また,同じ簡易的な方法でも,エアロバイクよりはトレッドミル,トレッドミルよりは12分間走の方が,尤もらしい値が求まります.特にエアロバイクの場合,体重が変わると負荷も変わるので(所謂,「体重が重い方が有利」).

      それにしても,350Wって凄いですね.僕は昔研究でよく乗っていましたが220W位が限界でしたので..体重を落とせば,身体にかかる負荷としてはその倍以上軽減されるので,現段階で,それだけの負荷をこなせれば,体重60 [kg]程度まで落とせばマラソン完走は余裕じゃないかな,と無責任ながら思ってしまいます.ちなみに,エアロバイクの負荷は余りあてにならないので,(昔の記憶なのでうろ覚えですが)ワット数よりも心拍数130-140,90-120ケイデンス程度を目安にトレーニングを行った方が良いと思います.トレッドミルが使えれば,その方がベターですが.

      • Funmatu より:

        少し上記コメントについて補足です。

        体重減少→酸素摂取量増大

        では無く、

        体重減少→負荷減少→

        から全体として相関的にみられるという話です。

        また身体バランスが変わらない場合で、最大酸素摂取量の規定因子の一として筋量(酸素消費の主因)がありますが、例えば著しい筋肥大は最大酸素摂取量に悪影響を及ぼすというエビデンスもあります(最大酸素摂取量の規定因子として、もう一つ(供給の主因)主となるのは呼吸循環器系:トレーニングで最大酸素摂取量が増加する要因(最大心拍出量や最大一回拍出量の増加))。

  6. gkrsnama より:

    ありがとうございます。エアロバイクに乗るようになって、負荷や回転数が厳密に扱えるようになって、わけがわからなくなっています。VO2MaxとATがどういう関係にあるかというのも実はわかっていません。

    例えばATは148拍と勝手に考えているのですが(その心拍で負荷と心拍の比例が崩れる、さらに上がると比例関係は復活するが負荷に対する心拍の増え方が減る)。215W-240Wで148拍がでます。がそれを1時間続けると165拍ほどになってしまうんですね。まっさらな状態では上限525Wを一分維持できますが(実車速度で考えると750WくらいまでならOK)一時間走ったあとなら、300Wだって1分維持できるかどうかというぐらいでしょう。

    痩せたらVO2Max70ってのは、実はゼンゼン信じてません。年齢別ならマラソン世界記録が期待できる?まさかそんなはずはない(笑)。ジムのトレーナーはおなじテストを30分間の終わりまで維持できたそうですし(つまり500W)。実際にロードの一時間維持パワーの話題が最近大はやりですが、草レースで250W1時間維持などふつうに見ます。300Wや350Wなんて奴も。(世界記録は570W一時間維持だったかと)

    ただ、厚生労働省の基準ではまっさらな状態で210Wを3分維持できたら30歳の標準だそうで、それに比べるとかなり強いとは言えるでしょう。(320W以上4分、300W平均8分)

    ジムでデータを渡して「峠を登るのがつらい」といったらインタバルメニューが出てきました。40秒全力90秒ジョグを5本で、この強度は実業団ロード強豪チームのスピード練習よりチョットだけハードなくらい。それを見ると、かなり強いというわけなんでしょうか。

    だから、マラソン5時間完走位は期待していいんじゃないかなとは思っています。痩せたらですが。

コメントは受け付けていません。