書籍紹介:「ダニエル・カーネマン-心理と経済を語る-」

  ダニエル カーネマン,友野 典男,山内 あゆ子:ダニエル・カーネマン-心理と経済を語る-.楽工社,2011/03.

「「ノーベル経済学賞受賞者にして、行動経済学の創始者が、
自らの研究を初めて語る。予備知識なしでもわかる、行動経済学入門の決定版。」」

行動経済学の創始者であり,心理学と経済学の橋渡しをした偉大な人,
ダニエル・カーネマンのノーベル賞受賞記念講演録,自伝,そしてノーベル賞を受賞した
研究の核となる内容の論文2本を一般向けに分かりやすく書き下したものが本書になる.

行動経済学を少しでも学んだことがあれば,既知の内容ではあるし,
心理学を多少とも勉強したことがあれば,非常にすんなりと納得できると思う.

ともすれば,普通に考えれば当たり前にも感じる内容ではある.
しかし,その当たり前と思えることが,この人が研究をするまでは
経済学の分野では当たり前ではなかったわけだ.不思議.

本書の内容は大きく3つ.
1.ヒューリスティックとバイアス(直感的判断とそれによるバイアスや誤りについて)
2.プロスペクト理論(意思決定理論について;人の感覚は微分系(絶対量ではなく相対量))
3.効用概念の再検討と幸福(決定効用,経験効用,記憶効用について,経済的な満足度とは)

よく「人は非合理的な判断をする」というけども,
誰しも恣意的に非合理的な判断をする人はいない.
逆に情報が限定されている状況での認知,推論は必ずしも合理的とはならない.
経済学における合理的経済人は,真に合理的には成り得ず,
不確実な状況における判断と意思決定においては,違った定義・解釈が必要になる.
それが,「限定合理性」であり,限られた認知・推論能力に基づいて意思決定を行う場合,
その心理とはどうなのか,経済学とどう結びつくのかという話が書かれている.

有名なアレのパラドックスとか,心の会計とか,無差別曲線は実は誤りであり,
プロスペクト理論における価値関数は利小損大になる等々.
既知の話もあるけれど,いろいろと復習しつつ,
再確認をするという意味でためになった.



ダニエル カーネマン,友野 典男,山内 あゆ子:ダニエル・カーネマン-心理と経済を語る-.楽工社,2011/03.

カテゴリー: 日記, パーマリンク