書籍紹介:決め方の科学-事例ベース意思決定理論-

イツァーク・ギルボア(Itzhak Gilboa),デビッド・シュマイドラー(David Schmeidler),浅野 貴央,松井 彰彦,尾山 大輔:決め方の科学―事例ベース意思決定理論.勁草書房,2005/01.

本書の目次と内容紹介(Amazonより)

第1章 はじめに
第2章 決め方のルール
第3章 数学的基礎
第4章 概念的基礎
第5章 計画
第6章 繰り返し
第7章 学習と帰納

内容(「BOOK」データベースより)
意思決定理論における世界最高峰の研究者による新しいパラダイムの構築。人々は過去の事例を参照しながら物事を決めていく。過去の似たような状況でよい結果を出した行為を選び、そうでない行為を避ける。本書が提唱する事例ベース意思決定理論(CBDT)は、確立空間を想定しない人間たちの意思決定を扱う。
内容(「MARC」データベースより)
人は過去の事例を参照しながら物事を決めていく。過去の似たような状況でよい結果を出した行為を選び、そうでない行為を避ける。不確実性下の意思決定に関する新しいパラダイム、事例ベース意思決定理論(CBDT)を提唱。

まず,簡単にではあるけど,本書の内容を説明すると,

行動経済学に関する専門書.意思決定に関する理論としては,期待効用理論であったり,
更にそれを進めた理論として(あるいは代替理論として),プロスペクト理論があるが,
本書では,「事例ベース意思決定理論」という新しいパラダイムが提唱される.

期待効用理論等では,確率状態空間モデルの中で,意思決定が説明されるが,
事例ベース意思決定理論では,事例ベースの名の通り,不確実性下の意思決定において,
過去の事例,記憶から,計画樹が形成され,意思決定される,と説明される.

そして,ヒトの意思決定において,多くの場合に,この様に考える方が当てはまりが良いようだ.

しかしまあ,その様な行動経済学的,認知科学的なお話は専門家に譲るとして,
僕としては,そういう知見,概念枠組がどの様に実用できるか,の方が興味がある訳で.
その観点から,本書を読み解いていくと,そういう本では無かったな,という印象.

元々,本書著者は期待効用理論等,既存パラダイムのエキスパートだったが,
最近の期待効用理論に関する研究が,ヒトの意思決定を表すものではなく,
理想的意思決定,例えば,ある場面で,ヒトはどの様な行動を取るのが良いのか,
意思決定に対して期待される利得が,最大化されるような意思決定はどうあるべきか,
といった観点に寄ったものが多くなったために,一旦,原点に立ち返って,
ヒトの意思決定を表す概念枠組を模索した結果が,この事例ベース意思決定理論らしい.

その為,僕が求めているのは,どちらかと云えば,期待利得を最大化するような
意思決定方法ってのはどのようなものか,ってところのほうが興味があるので,
本書の内容は,求めているものとはちょっと違ったかな.

まあ,そういうのを知りたければ,期待効用理論であったり,プロスペクト理論関連の研究,
そういうのを漁ったほうが,期待利得最大化の為の状態空間モデルの設計について,
いろいろな知見が得られるのかも知れない.例えばではあるけど,
不確実性下における意思決定においては,ヒトは主観的期待効用を最大化する形で行動し,
てフォン=ノイマン・モルゲンシュテルン効用関数で表される期待効用を
最大化する形では意思決定を行わない(プロスペクト理論の話とか)場合があるが,
この時に合理的(利得を最大化する形で判断する)には,
効用最大化原理に基づいて判断した方が良いかもしれない.
そういう話が知りたいなあ,なんて思っていた訳です.

そんな訳で,僕はちょっと読み方が違ったので,あれこれ言ったけども,
実際のヒトの意思決定がどのようなものかを表す理論体系としては,
「事例ベース意思決定理論(CBDT)」というのは面白い概念枠組であり,
読めば読むほど,なる程な,と思う内容だった.良書である事は間違いない.

まあ,ちょっと内容が専門的過ぎて(最先端の研究のお話だから当たり前か),
電車の中で読むには,ちょっと内容が重いかな,とは思う.
家でじっくりと読む良書です.良い勉強になるのでお薦め.




イツァーク・ギルボア(Itzhak Gilboa),デビッド・シュマイドラー(David Schmeidler),浅野 貴央,松井 彰彦,尾山 大輔:決め方の科学―事例ベース意思決定理論.勁草書房,2005/01.

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