本を読んで… 3冊

大塚 柳太郎:ヒトはこうして増えてきた: 20万年の人口変遷史 (新潮選書)

ダニエル・E・ リーバーマン:人体600万年史(上):科学が明かす進化・健康・疾病  
ダニエル・E・ リーバーマン:人体600万年史(下):科学が明かす進化・健康・疾病  

大塚さんの本は人口動態の観点から,ヒトの生態,或いは文化的な遷移,その歴史が述べられている。リーバーマンさんの方は,ある種より俯瞰的なストーリーに感じられた.進化人類学的観点で人体の遷移とそれに関連した生態,文化的遷移の歴史が述べられている。特に上巻は,この人の専門らしく,主に歩行の観点から,下巻は近現代の生態と病理の色が濃いか.どちらも,色々な知見が得られ,中々面白い.

本書は要素還元主義的な観点から読むより(勿論,あーだこーだと原因を考えるのは面白いし,思惟に耽る事は一定の価値があるが),全体主義的な観点から読む方が尤度の高い見識を得られるのでは無いだろうか.何故,そうなったのか,はこの際考えても大した意味は無い.この様な過程の結果,今という現象がある.それは,今を起点にして,過去に遡る中で,幾つもの結果と過程がみえる.大きな揺らぎの中にみる複数の小さな揺らぎ.例えば,人口循環.これぞまさに,複雑系事象であり,メタ安定状態だろう.20万年の人口変遷史,人体の600万年史.その中にカオスを見出せれば,これ程面白い事はないだろう.

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